一言でいうと
飲んで大丈夫です。日本動脈硬化学会のガイドラインは、10時間以上の絶食を「空腹時」としたうえで、水やお茶などカロリーのない水分は飲んでよいと明記しています。水を飲んでも前日からの絶食は破られません。
絶食の10時間は、最後に食べた時刻から数えます。夜中や朝に水を飲んでも、時計が最初に戻ることはありません。前日21時に夕食を終えたなら、朝7時の時点で10時間の条件は満たされています。
健診機関の案内も同じ方向です。済生会神奈川県病院は、水とお茶なら受付時刻の2時間前までコップ1杯程度を飲めるとし、日本予防医学協会は、水や白湯なら前日の就寝前まで、当日も受付の3時間前までにコップ1杯(200 mL程度)まで、夏場は受付前まで飲めると案内しています。
迷う人が多い理由
「絶食」と聞くと、水も禁止だと思う人は少なくありません。採血に来た外来患者150人に聞いた調査では、絶食を正しく説明できたのは39%だけで、半数以上は何の説明も受けていませんでした。説明がなかったとしても、あなただけではありません。
水がよくてほかの飲み物がだめなのは、中身の違いです。水には糖も脂肪もカロリーもないので、空腹時血糖や中性脂肪を動かしません。ジュースや牛乳、スポーツドリンクには糖や脂肪が入っていて、そのまま血液に届きます。
空腹時血糖は、食事のあと数分で上がり始めます。中性脂肪も食後に上がります。絶食はこの2つを守るためのもので、守る相手が糖と脂肪である以上、どちらも含まない水は問題にならない、というのが理屈です。
「水」に入るもの、入らないもの
迷ったら、何も加えていない水がいちばん確実です。白湯も同じ扱いです。無糖のお茶は日本のガイドラインでは認められていますが、当日の朝は水と白湯だけにする施設もあるので、自分の案内を確かめてください。
反対に、牛乳、ジュース、スポーツドリンク、コーヒーは、済生会神奈川県病院が当日の朝に控えるよう挙げているものです。あめやガムも同じです。
炭酸水やフレーバーウォーターは、糖や香料、甘味料が入っていることがあり、「水」としては扱われません。
- 水・白湯絶食中も飲めます。当日は施設の案内の量と時刻を守ります。
- 無糖のお茶ガイドライン上は可。ただし水と白湯だけの施設もあります。
- 牛乳・ジュース・スポーツドリンク糖や脂肪が入るため、絶食を破ります。
- コーヒーブラックでも控えます。理由はコーヒーのページで説明しています。
どれくらい、いつまで飲めるか
前日の夜は、就寝前まで水やお茶をふつうに飲んでかまいません。当日の朝は、コップ1杯(約200 mL)程度を、受付の2〜3時間前までに飲むのが多くの施設の目安です。
当日の量と時刻に上限があるのは、採血だけでなく、胃のバリウム検査や胃カメラ、腹部超音波検査にも同じ食事制限がかかるからです。日本予防医学協会の案内でも、これらの検査がある人が食事制限の対象になっています。胃の検査がない日は、もう少し緩やかな施設もあります。
受付の直前に喉が渇いたら、うがいで口を湿らせるよう勧める施設もあります。決められた時刻を過ぎて飲んでしまったら、量と時刻を受付で伝えてください。
どんな血液検査の前でも水は飲める?
ふつうの血液検査なら、飲めます。血球の検査のように絶食が要らない検査はもちろん、空腹時血糖のように絶食が必要な検査でも、水は例外として認められています。
脂質の検査も同じです。日本のガイドラインは食後の採血にも基準を設けており、脂質の検査で水が問題になることはありません。絶食が要らない検査なら、そもそも飲み物の制限はほとんどありません。
例外は、医師や健診機関から特別な指示が出ている場合です。その場合は指示が優先です。
会社の健診でも自治体の特定健診でも、血液検査の内容はおおむね共通です。違いが出やすいのは、同じ日に胃の検査があるかどうか。胃の検査がある日は水の量と時刻に厳しく、血液検査だけの日は緩やかなことが多いので、自分の検査の組み合わせを予約票で確かめておきましょう。
運動、ガム、たばこはどうか
米国の公的情報は、絶食中はガムやたばこ、運動も控えるよう挙げています。どれも、検査の結果を変える可能性があるためです。日本の健診機関も、当日の朝のあめ、ガム、たばこを控えるよう案内しています。
朝の散歩くらいなら気にしすぎる必要はありませんが、激しい運動は採血のあとにしましょう。採血に関する欧州の推奨も、受診者側の準備を検体の質の一部として扱っています。
午後に受診する場合は、朝の軽食や水分の扱いが変わります。南相馬市立総合病院の午後健診では、朝食を午前7時までの軽食で済ませ、予約時間の2時間前まで水を200 mLまで飲めるとしています。
薬を飲むときの水
いつもの薬は、少量の水で飲んでかまいません。水で絶食が破られることはないからです。日本予防医学協会は、心臓病や高血圧の薬を朝7時までに少量の水で飲んで受診するよう案内しています。
例外は糖尿病の薬とインスリンです。絶食中にいつもどおり使うと血糖が下がりすぎるおそれがあるため、当日の朝の使い方を事前に主治医に確認してください。詳しくはいつもの薬についてのページで説明しています。