ガイド1 · 採血の前に
血液検査の前日と当日:食事・水・お酒・たばこ・薬で何が変わるか
血液検査の前日は、夕食を早めに済ませて10時間以上あけるのが日本の健診の基本です。水やお茶は飲めます。コーヒー、お酒、たばこ、いつもの薬がそれぞれ何を変えるのかを、検査ごとにまとめました。
準備で実際に変わること
変わるものは意外に少ない、というのがいちばん役に立つ事実です。食事は数時間のあいだ血糖と中性脂肪を動かします。コーヒーも同じ2つに影響します。鉄剤は血清鉄の値をゆがめます。ふだんの健診項目のほとんどは、その朝あなたが何をしたかにあまり左右されません。
日本では、多くの人が毎年この準備をします。会社の定期健康診断は労働安全衛生規則で1年以内ごとに1回と決められ、貧血、肝機能、血中脂質、血糖の検査が含まれます。40〜74歳には特定健診もあります。毎年のことだからこそ、何を守れば十分かを知っておくと楽になります。
このガイドの各ページは、食事、水、コーヒー、お酒、たばこ、薬を一つずつ取り上げ、何がどれだけ、どのくらいの期間動くのかを説明します。考え方が変わった点もはっきり書きます。たとえば脂質の検査は、欧州では2016年から絶食なしが標準になり、日本のガイドラインも2022年版で食後の採血でも使える基準を設けました。
絶食:思っているより短いリスト
絶食が必要なときは、前日の21時ごろまでに夕食を済ませ、10時間以上あけるのが日本の健診の案内です。厚生労働省の特定健診のルールは、「空腹時」を絶食10時間以上と定めています。守る対象は主に空腹時血糖で、食事のあと数分で上がり始めます。血球、HbA1c、肝機能、腎機能には、この絶食はほぼ必要ありません。
脂質の検査は2016年に立場が変わりました。欧州動脈硬化学会と欧州臨床化学連合は、ふつうの食事のあとでも中性脂肪の上昇は最大で約26 mg/dL、LDLコレステロールの低下は約8 mg/dLにとどまるとして、絶食なしを標準にしてよいとしました。日本動脈硬化学会の2022年版ガイドラインは空腹時を基本としつつ、随時の採血では中性脂肪175 mg/dL以上を高値とする基準を示しています。
絶食の意味と、絶食を破るもの
多くの人は、そもそも説明を受けていません。採血に来た150人に聞いた調査では、絶食を正しく説明できたのは39%、食事の時刻は関係ないと考えていた人が46%、半数以上は何の説明も受けていませんでした。
水とお茶は絶食中も飲めます。日本のガイドラインは「カロリーのない水分」を認めています。いちばん多い勘違いはブラックコーヒーです。健康なボランティアに食事前にカフェイン入りのコーヒーを飲んでもらった試験では、カフェインレスに比べて血糖の上がり方が147〜216%大きくなりました。
お酒・たばこ・薬が残す跡
お酒には2つの時計があります。一晩の飲酒は中性脂肪や一部の肝機能の値を1〜2日動かします。ふだんの飲酒はγ-GTPや赤血球の平均の大きさを数週間から数か月かけて動かし、前日だけ控えても元には戻りません。どちらも飲酒そのものを測る検査ではなく、肝臓の酵素はアルコール以外の理由でも上がります。
たばこを毎日吸う人は、白血球が多めに出ます。日本の健診受診者約3万8千人を調べた研究では、現在の喫煙が白血球の増加ともっとも強く結びついていました。喫煙者の白血球に「高」の印がついても、感染症とは限りません。薬は、医師から書面などで別の指示がない限り、いつもの治療を続けてください。ビオチンを高用量でとっていた健康な人では、ビオチンを使う検査23項目のうち9項目が誤った値を示しました。
どこから読むか
絶食するように言われ、それが自分の検査に当てはまるかを知りたいなら、まず「前日の食事」のページから。知りたいことがもっと具体的なら、水、コーヒー、お酒、たばこ、薬、朝ごはんの各ページへ直接どうぞ。
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出典
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Biomarker-Based Approaches for Assessing Alcohol Use Disorders
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Association of Biotin Ingestion With Performance of Hormone and Nonhormone Assays in Healthy Adults
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