短い答え

多くの場合は飲んで大丈夫です。日本予防医学協会は、心臓病や高血圧の薬を朝7時までに少量の水で飲んでから受診するよう案内し、済生会神奈川県病院も当日朝6時までに少量の水で飲むよう案内しています。時刻は施設によって違うので、届いた案内を確認してください。

例外は少しだけです。血糖を下げる薬、採血のあとに飲むほうがよい一部の薬、そして測定そのものをゆがめるサプリメント。絶食が必要な検査の前でも、たいていの薬は飲めます。どんな場合に答えが変わるのかを、以下で説明します。

自分の判断でやめない

数値をよく見せるために、治療をやめないでください。血液をさらさらにする薬、血圧の薬、てんかんの薬、甲状腺ホルモンの薬などを中断すると、本当の危険があります。数値のほうは、ちょっと不便になるだけです。止める必要がある薬なら、処方した医師が、どのくらいの期間止めるかとあわせて伝えます。

少量の水で薬を飲むことも、絶食を破りません。日本のガイドラインは、水やお茶などカロリーのない水分を空腹時でも認めています。

糖尿病の薬と、絶食が必要な健診

安全のためにいちばん大事な例外です。インスリンや、インスリンの分泌を促す飲み薬などは血糖を下げます。絶食したままいつもどおり使うと、血糖が下がりすぎるおそれがあります。日本予防医学協会も済生会神奈川県病院も、糖尿病の薬とインスリンは事前に主治医に相談するよう案内しています。

済生会神奈川県病院は、心不全や腎臓病の治療のために糖尿病の薬が処方されている場合もあると注意しています。「糖尿病ではないから関係ない」と思っても、薬の名前を確認しておきましょう。健診の前に、当日の朝は飲むのか、減らすのか、遅らせるのかを主治医に聞き、早い時間の予約をとり、採血の後に食べるものを持っていき、待っている間に具合が悪くなったらすぐ職員に伝えてください。

甲状腺の薬など、飲む時刻が大事な薬

止めるのではなく、時刻をずらす薬もあります。採血でピークではなく、ふだんの値を見るためです。代表的なのは甲状腺ホルモン薬のレボチロキシンです。飲んだあと、血液中のサイロキシン(T4)と遊離T4は約15%上がり、約4時間後にピークになります。その時間帯に採血すると、遊離T4がふだんより高く出ることがあります。

そのため、検査の日は採血のあとに飲むよう指示されることがあります。指示があればそれに従い、なければ確認してください。どちらの場合も、薬は飲みます。朝の少し遅い時間に飲むだけです。

薬の効果ではなく、薬そのものの血中濃度を測る検査でも同じ考え方です。採血と服用の順番が指示されていなければ、飲む前に聞きましょう。

ビオチン、鉄、そのほかのサプリメント

処方箋なしで買えるからといって、サプリメントが無害とは限りません。いちばんはっきりした例がビオチンです。多くの検査はビオチンを使った方法で測られており、血液中のビオチンが多すぎると、体ではなく測定の仕組みそのものが乱されます。

米国の研究では、健康な成人6人が、市販のサプリによくある1日10 mgのビオチンを1週間とりました。その後、ビオチンを使う検査23項目のうち9項目が誤解を招く値を示し、高く出たものも低く出たものもありました。甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン、ビタミンDなどが含まれていました。

もう一つよくあるのが鉄です。鉄の検査が含まれるなら、朝の採血や長めの絶食を求められることがあります。鉄剤やサプリをいつから、どれくらい止めるかは事前に相談しましょう。

市販薬、痛み止め、風邪薬はどうするか

日本予防医学協会は、心臓や血圧の薬以外については、主治医の指示に従うか、当日は飲まずに持参して検査が終わってから飲むよう案内しています。急ぎでない市販薬や痛み止め、風邪薬なら、採血が終わるまで待つのがいちばん簡単です。

どうしても飲んだなら、薬の名前と時刻を受付で伝えてください。検査の結果に影響する薬は多く、検査結果は臨床判断のおよそ70%に関わるとされます。何を飲んでいるかが分からないまま読まれた結果は、判断を間違った方向に導くことがあります。

受付と問診票で伝えること

飲んでいる薬の一覧か、お薬手帳を持っていきましょう。採血に関する欧州の推奨は、受診者の準備を検体の質の一部として扱っており、何を飲んでいるかもその準備に含まれます。

気づかずに自分で何かをやめていたなら、隠さずに伝えてください。薬を飲んでいるつもりで読まれた、実は飲んでいなかった日の結果は、注釈つきの結果よりずっと困ります。

そもそも何の説明も受けていなくても、あなただけではありません。採血に来た外来患者の調査では、半数以上が何の説明も受けていませんでした。聞くのはふつうのことです。

  1. 薬の名前と量処方薬はすべて、薬袋やお薬手帳の表記どおりに。
  2. 最後に飲んだ時刻とくに当日の朝に飲んだものは必ず伝えます。
  3. サプリメントもビタミン、ビオチン、鉄、健康食品も一覧に入れます。
  4. 止めた薬やめた、遅らせたものがあれば、誰の指示かとあわせて伝えます。