ガイド3 · 検査結果を手に
健康診断の結果の見方:基準値、判定区分、H・Lの意味
健康診断や血液検査の結果は、基準値から読み始めます。H・Lや「*」の印、A〜Eの判定区分の意味、病院ごとに基準値が違う理由、基準値から外れた値への向き合い方をまとめました。
まず知っておきたい数字
健康な人でも、100人のうち5人は、ひとつの検査で基準値から外れます。基準値は健康な人の95%が収まる範囲として作られているので、これは欠陥ではなく仕組みそのものです。検査項目がたくさん並ぶ結果では、健康な人でも印がひとつも付かないほうが珍しくなります。実際、職場の定期健康診断では、受けた人の約6割に何らかの所見があります。
このガイドのページはすべて、この事実から出発しています。印は「比べた結果」にすぎず、大切なのは、その比べた結果があなたにとって意味を持つかどうかを見極めることです。
基準値の作り方と、あなたの用紙の基準値が優先される理由
基準値(基準範囲)は、決められた条件を満たす健康な人を集めて測り、真ん中の95%が入る範囲として決めます。男女で差が大きい項目は男女別に設定されています。日本では、主要な40項目について全国で共通に使える「共用基準範囲」が、6,345人分のデータから作られました。
それでも、測定方法や機器、対象となる集団が違えば基準値は少しずつ変わります。だからこそ、あなたの値に当てはまる基準値は、結果の用紙で値の横に印刷されているものです。違う病院の結果を並べるときは注意が必要です。また、コレステロールや血糖のように、診療ガイドラインが決めた「臨床判断値」で判断する項目もあり、これは基準値とは別のものです。
2回分の結果を比べるとき:その変化は本物か
体の中で何も変わっていなくても、検査の値は毎回少しずつ動きます。体そのものの日々のゆらぎと、測定につきものの小さな誤差があるからです。臨床検査の分野には、2回の結果の差がどれくらいあれば「ふだんのゆらぎ」では説明しにくいかを示す考え方(参照変化値)があります。
実際には、同じ施設で、同じような条件で受けた結果どうしを比べ、1回の上下より数回分の流れを見ます。思いがけない値がひとつだけ出たときは、何かを決める前にもう一度測ることがよくあります。検査の誤りも実際に起こるからです。5万1,000件を超える検査を調べた研究では、約1,000件に3件で誤りが見つかり、その62%は検体が測定機器に届く前の段階で起きていました。
印が必要以上に不安をあおる理由
いまは結果が診察より先に手元に届くことも増えました。39件の研究をまとめたシステマティックレビューでは、患者は結果をすぐ見られることを歓迎する一方で、基準値ぎりぎりの値や、受診が必要かどうかの判断に最も苦労していました。18件の研究をまとめた別のレビューでは、値を数字だけで示すより、基準範囲の横棒の上に印で示したほうが理解しやすく、医療機関に問い合わせたくなる気持ちも減っていました。
このガイドのページで値を横棒の上に置いて示しているのはそのためで、完全レポートも同じ形で示しています。
4つの問い
どれくらい外れているか、どちら向きか、ほかの項目と合わせるとどうか、前回と比べてどうか。たいていの結果はこの4つで整理でき、行の端に付いた文字や判定の記号だけでは、どれにも答えられません。
いま手元に検査結果があるなら、このページのアップロード欄から、あなたの結果を検査施設の基準値に照らして、注意が必要なものから順に並べることができます。
- どれくらい外れているか上限をわずかに超えた値も、大きく超えた値も、同じ「H」が付きます。外れ幅にこそ多くの情報があります。
- どちら向きか同じ項目でも、高いときと低いときでは意味が違い、片方向だけが問題になる項目もあります。
- ほかの項目と合わせると項目はグループで読みます。ヘモグロビンはMCVやフェリチンと、ALTはASTやγ-GTと一緒に見ます。
- 前回と比べると何年も同じくらいで安定している値と、少しずつ動き続けている値とでは、意味が違います。
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出典
診療ガイドライン、合意声明、査読を受けた研究です。このページの数値はすべて、いずれかを出典としています。査読前の論文(プレプリント)は引用していません。
- 公的資料
- 総説
Interpretating Normal Values and Reference Ranges for Laboratory Tests
- 総説
- 観察研究
Errors in a stat laboratory: types and frequencies 10 years later
- システマティックレビュー
- システマティックレビュー
- 公的資料