血液検査の費用は、受け方で3通りに分かれる

日本で血液検査を受ける道は、大きく3つあります。医師が診療に必要と判断して行う保険診療、医療機関が値段を決める自費(自由診療)、そして会社や保険者が行う健康診断です。値段の決まり方がそれぞれ違うので、「血液検査はいくら」という問いに一つの答えはありません。

保険診療の値段は全国共通です。国の診療報酬点数表で検査ごとに点数が決まっていて、1点は10円で計算します。たとえば初診で、血球数の検査(末梢血液一般検査)とHbA1c、肝機能・脂質・腎機能など10項目の生化学検査をまとめて受けると、診察料と採血料を含めて773点、つまり7,730円です。3割負担なら、窓口で払うのは2,320円になります。同じ内容を診療所の再診で受ければ558点、窓口では1,670円です。

一方、自費の値段は医療機関が自由に決めます。2026年10月8日に確認した公開料金では、福岡の病院の健診センターが、肝機能や脂質を調べる採血コースを1コース2,200円(税込)で案内していました。

773点
初診で血球数、HbA1c、生化学10項目を調べたときの点数の例(7,730円)[4]
2,320円
同じ例で、3割負担の人が窓口で払う金額[2]
2,200円
自費の採血コース(肝機能など)の公開料金の一例(税込、2026年10月8日確認)[11]

保険がきく血液検査は、3割負担でいくら?

保険がきくのは、症状を調べるためや病気の経過をみるために、医師が必要と判断した検査です。保険診療のルールでは、検査は「診療上必要があると認められる場合に行う」とされています。このとき窓口で払うのは、点数を円にした額の一部です。70歳未満は3割、6歳未満は2割、70〜74歳は原則2割、75歳以上は原則1割で、所得によって2割や3割になります。窓口の金額は、10円単位にそろえて計算します。

請求の中身は4つに分かれます。診察料、採血料、検査そのものの料金(実施料)、そして結果を医師が判断する料金(判断料)です。肝機能や脂質などの生化学検査はまとめて計算する仕組みで、5〜7項目で93点、8〜9項目で99点、10項目以上は103点です。項目を増やしても、点数はあまり増えません。

判断料には、検査の分野ごとに月1回までという決まりがあります。血液学的検査(血球数やHbA1cなど)は125点、生化学的検査(肝機能や脂質など)は144点です。同じ月のうちに再検査を受けると、2回目は判断料がかからない分だけ安くなります。

  1. 初診料・再診料初診は291点、診療所などの再診は76点(2026年6月からの点数)。かかりつけで受けると診察料が下がります。
  2. 採血料腕の静脈からの採血は40点、指先などからの採血は6点です。
  3. 検査の実施料血球数の検査は21点、HbA1cは49点、生化学は項目数に応じて93〜103点と、検査ごとに決まっています。
  4. 判断料血液学的検査は125点、生化学的検査は144点。分野ごとに月1回までです。

保険がきかないのはどんなとき?

症状がなく、念のため数値を知りたいという検査には保険がききません。保険診療のルールが、健康診断を保険の対象として行ってはならないと定めているからです。この場合は全額が自己負担(自費)になり、値段は医療機関ごとに違います。

2026年10月8日に確認した公開料金の例です。福岡の原三信病院では、肝機能(AST、ALT、γ-GTP、総タンパク、アルブミン)、脂質(総コレステロール、HDL、LDL、中性脂肪)、糖代謝(血糖、HbA1c)の採血コースが各2,200円、甲状腺(TSH、FT4)が3,850円でした(いずれも税込)。名古屋の内科では、個人健診の基本料金2,500円に、一般健診と同じ内容の血液検査が3,300円という料金を公開していました。

こうした採血だけのコースは、数値を知らせるだけで判定や診断はしないと明記していることがあります。気になる値が出たら、改めて医療機関を受診することになります。自費で受ける方法と注意点は「血液検査だけを受けたいとき」で詳しく説明しています。

健康診断なら、費用はいくら?

会社で働く人の場合、会社は年1回の定期健康診断を行う義務があり、その項目には貧血、肝機能、血中脂質、血糖の検査が入っています(労働安全衛生規則第44条)。法律で義務づけられた健康診断なので、費用は会社が負担するものとされています。

40歳以上の人には、加入している保険者が行う特定健診(特定健康診査)もあります。自己負担額は保険者や自治体ごとに決まり、たとえば横浜市の国民健康保険では、2026年度の特定健診の自己負担は無料です。協会けんぽの被保険者が受ける一般健診(35〜74歳)は、自己負担が最高5,500円です。

人間ドックは原則として自費ですが、補助を出す保険者があります。協会けんぽは、35〜74歳の被保険者が受ける人間ドックに最高25,000円を補助しています。まず自分の保険者の案内を確認すると、同じ検査をより安く受けられることがあります。

全部の項目を調べると、いくらかかる?

「全部調べてほしい」という、決まった検査セットはありません。費用は調べた項目の合計で決まり、保険診療なら上の点数の足し算、自費なら医療機関の料金表どおりです。コレステロールなどの脂質や腎臓と電解質の検査を加えれば、その分が上乗せされます。

項目を増やすほど安心とは限りません。2026年に欧米の76の個人向け検査パッケージを分析した研究では、含まれる検査の58%が、価値が低いか不要な追加検査につながりやすいものでした。いちばん大きなパッケージでは、健康な人1人あたり約10件の誤った異常が出ると見積もられています。

症状のない大人を対象にした17の比較試験をまとめたCochraneレビューでも、一般的な健康診断で全体の死亡や、がん・心臓病による死亡は減っていませんでした。これは症状のない人の検診の話で、症状を調べる検査や病気の経過をみる検査を否定するものではありません。日本では、会社の健診や特定健診で、毎年の基本的な血液検査がすでに用意されています。

採血の前に、値段を確かめる

値段は採血の前に聞いて大丈夫です。どの項目を調べるかが決まれば、受付で目安を答えられます。数分の確認のほうが、あとで請求を見て驚くよりずっと役に立ちます。

  1. 保険か自費か症状があって医師が必要と判断すれば保険、念のための検査は自費です。どちらになるかを先に確認しましょう。
  2. 項目のリスト何を調べるかを聞いておきましょう。項目名がわかれば、点数表や料金表で比べられます。
  3. 大きな病院の特別料金特定機能病院などに紹介状なしで初診で行くと、7,000円以上(医科)が別にかかります。紹介状の期限も確かめておきましょう。
  4. 同じ月の再検査判断料は分野ごとに月1回まで。同じ月に再検査を受けると、その分が安くなることがあります。

請求が思ったより高いとき

保険医療機関は、支払いのときに費用の区分ごとの領収証を無償で渡すことになっていて、多くの医療機関は項目ごとの明細書も無償で出します。明細書には検査名と点数が並ぶので、上で説明した点数と照らし合わせれば、何にいくらかかったかがわかります。

わからない項目があれば、会計の窓口で聞いてかまいません。思ったより高い理由が初診料のこともあります。患者が自分の判断で受診をやめて1か月以上たつと、同じ病気でも初診として扱うと決められているからです。

結果を受け取るまでの日数は「結果が出るまでの日数」で説明しています。